白と黒のコーヒータイム

特上サンプル

定期講読しているファッション雑誌は1つだけ。

それはごくごく普通の20代半ばのOLさんを対象としたファッション誌で、看板モデルはドラマでも活躍している人気の女性だ。

トレンドを知ることも仕事に繋がるし、何より自分のセンスに磨きもかけられる理由でしっかりと読み込んでいた。

職場は制服だけど、だからと言って私服に油断して良い訳ではない。

しっかりと女度を上げていかないと全てを怠けそうな気がして必死だった。

そう、今も国見が頬杖つきながら広げている買ったばかりの最新号、その雑誌にも書かれているのだ。

恋愛と仕事は長く休むと抜け出せなくなる。

「休んでるつもりはないんだけどさ。」

どんな雑誌も後半部分は内面についてを語る特集ばかり、またタイトルがキャッチーだから読み込んでしまいたくなるのだ。

「あなたの女子力は大丈夫!?って…余計なお世話だな。」

愛用しているハーブティーを飲みながら悪態をついても読んでしまう。

文句を言いながらも自分に自信が持ちきれていない心理をうまくつかれたような気がした。

これで解決できるなら。

yes、noで選択していくと表される国見の女子力パーセンテージ、その結果に眉を寄せて納得のいかない息を吐いた。

「低くないじゃん。」

なんとも微妙な80%という結果に少し苛立ちを覚える。

じゃあ一体何が自分の恋愛を安定させないのだ。

「ああー!もう!」

机の上に突っ伏してどうにもスッキリしない気持ちを投げ出した。

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