白と黒のコーヒータイム
まずは性別から。

あとは黒髪、短髪、眼鏡なし、ほどよい身長、まあまあな顔立ち。

外見からという初歩も初歩すぎる分析しか出来ない自分に唸っていると不意に斜め上から声が降ってきた。

「よう。隣いいか。」

一応の断りを入れつつも当たり前のようにトレイを持った名村が国見の横に座る。

ビックリだ。

なんていいタイミングで現れるんだろう、その偶然に驚きつつもその顔を見てさっきまで考えいたことを思い返してみた。

まあまあは訂正だ、目もパッチリしていて少し茶色がかっていて印象的で。なかなかいい顔立ちをしている。

こんな人がずっと傍に居たのかと思うと自分は随分と贅沢だったのではないかと国見は少し感動した。

「名村って男前よね。」

ラーメンを豪快にすすりながら目を大きくする名村もまた絵になるなと素直に思う。

「なんだ?いきなり。」

「そりゃそうよね。名村はモテてる訳だもんね。」

真柴に言われて名村という男を考えてみたが、やはり長く付き合っている情がある分はひいき目で見てしまうのだ。

まずは同期として友人として関わってきた名村に対しては本当にいい奴の一言に限る。

勿論すべてが良くて欠点がまるでないということは無い、現に口が悪いのだと一応国見は心の中でツッコミをいれた。

それでもやはり改めてマジマジと観察して分析すると興味がわいてくるから面白い。

「…何の話だ?」

全く話が見えてこない展開に名村は箸を止めて目を細めた。

しかしそんな名村に気付いているのかいないのか国見はそのまま自分の世界に入りつつ分析を止めようとしない。

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