生徒に恋しちゃいました
「男性恐怖症ってマジなんだー。
ホームルーム中もずっと顔青いから、また倒れるかと思った」

「もう絶対倒れたりしません。
明日からは先生として、しっかりやるからね」

私は自分に言い聞かせるように宣言した。今日はかなり失敗しちゃったけど、明日からはしっかりしなきゃ。

「けどさ、なんでわざわざ男子校にきたわけ? 男に触ると気分悪くなんでしょ。 全く触らずに先生すんの難しくない?

性的なものじゃなくて、握手とか普通の触れ合いもダメなんでしょ」

結城くんの疑問はもっともだし、私自身が一番そう思ってる。

私は男性恐怖症だった。

正確には男性との接触恐怖症と言うのかな。

中学生以上の男に触ったり触られたりすると、ものすごく気持ち悪くなって朝みたく吐いてしまったりする。

男子校で働くなんて、ありえない筈だった。

「採用通知は桜木女子高校で貰ってたのよ。
けど、つい3ヶ月前にこっちで急に休職の先生が出たから代理でって頼まれて」

私が赴任する予定だった桜木女子高校は
ここの系列、経営母体は同じだった。

学校側からすれば私の赴任先変更は一般企業で言うところの人事異動みたいなものでさらりと言い渡された。

私にとっては天国と地獄ほどの差があったのだけど。

だけど・・・

「断ってもしクビになったらと思うと嫌とは言えなかったのよ。 大学4年の冬から別の就職先なんて見つかるはずもないし」













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