生徒に恋しちゃいました
同世代の男性に比べれば中学生や高校生に抱く恐怖心は少なかった。
男子校勤務は良いリハビリになるかもと
無理やり前向きに考えて、赴任を承知したのだった。
「なるほどね。まぁ、たしかにこのままじゃセンセ、彼氏も結婚もできないもんね。 いつまでも色気も出ないだろうし・・・」
「う、うるさいわね。 彼氏とか結婚は別にいいの。とっくに諦めてるし。
ただ、普通に先生としてやっていけるようになれれば・・・」
「ふーん。
じゃさ、俺がリハビリしてあげるよ」
結城くんはにっこり笑ってそう言った。
無邪気なように見えて、
裏がありそうな、
それでも見る人を魅了する
とびきりの笑顔。
小悪魔ってこういう子を言うんだろうな・・・色気0の私とは大違いだ。
「えっ、変なこと言わないで!自分で何とかするから今聞いた話は忘れて。
ねっ?」
私は慌てて、近づいてくる結城くんを制した。
「けど、クラス委員としてもしょっちゅう倒れる担任じゃ困るんだよな〜」
「うっ・・・」
「センセだってさ、一人きりの老後はさみしいでしょ〜」
「それは別に・・・」
私は思わず結城くんから目を逸らした。
けど、結城くんがじっと私を見つめる視線を感じて落ち着かない。
「大体さ、さっき高校生は男じゃないって言ってたじゃん。 なら俺とリハビリするの何の問題もないよね?」
結城くんは私の手首を掴むと、自分の頬に近づけた。
私の指先が彼の唇の端に触れる。
指先が熱を持ったように痺れた。
「ーーーそれとも、俺を男として意識しちゃった?」
とうてい高校生とは思えない煽情的な顔と声色だった。
どうしてこの子はこんなに色っぽいのかしら。