生徒に恋しちゃいました
「そーだ、ちょっと変なこと聞いていい?」

桃子センセイがクリクリした大きな瞳を俺の方に向ける。

小学生の時クラスで飼ってたハムスターに似てる・・・って言ったら怒るかな?

「結城くんてすごく成績いいのね。
中学の先生にもっと上の高校狙えとか言われなかった?」

「言われたよ」

桃子センセイは何かに気がついたようにはっとすると、みるみるうちに暗い表情になった。

思ってることがそのまま顔に出るタイプなんだな。
つーか、時々思ってることをそのまま呟いてるしな、この人。

「あのさ、本命に落ちたとかじゃないから、そんな暗い顔しなくていーよ。
俺はここが第一志望だったの」

「あ、そうなんだ。 でも、何で?」

「偏差値も大した事ないし、部活に実績あるわけでもないし、おまけに男子校だし?」

俺がそう言うと、桃子センセイは慌てて弁解しようとした。
けれど、上手いフォローが思いつかないようでモゴモゴと口ごもっている。


うちの学校は生徒の俺でもフォローできないくらい、とりたてた特徴のない学校だった。

偏差値は中の中、
運動部も文化部も目立った実績はなし。
というか、部活動参加率は著しく低い。
俺も含めほとんどの奴らが帰宅部だ。

男子校なので、ケンカや万引きで補導される程度のトラブルはたまにあるものの
荒れているとかいう程でもない。


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