生徒に恋しちゃいました
「気をつけて帰ってね〜」

桃子センセイが明るく俺に手を振ってくれる。
気をつけて・・って俺は小学生かよ。

「桃子センセイこそ、あんま遅くならないよーにね! ま、痴漢にあう心配は無いだろうけど」

「う、うるさいわね! 早く帰んなさい」


校庭で練習してる野球部の連中を眺めながら、ぼんやり廊下を歩いてると後ろから声がかかった。

「おーい、広人ー!!いま、帰り?」

「おう。よっしーは何やってたの、こんな時間まで」

振り返ると同じクラスの山崎由明がこっちに向かって腕をブンブン振っていた。

よっしーは1年の時からの友達。
派手なドレッド頭で見た目はいかついけど、意外と涙もろかったりして結構いい奴だ。

「俺はアレだよ。文化祭実行委員会」

「もうそんな季節かぁ。
よっしー、委員だったっけ?」

「そーだよ。 飲食店やる権利を獲得するために戦ってんだから感謝しろよ」

「なんで飲食? 別に儲けなんて出ないっしょ」

「マジで馬鹿だな、広人は。 飲食店なら女の子がいっぱい来るだろうが。
研究展示なんて当たったら、1人も来ないぞ」


なるほど。 全く潤いのない男子校の生活で唯一女子と触れ合えるイベントが文化祭だ。
よって、普段は何事にもやる気のないうちの生徒も文化祭だけは気合いを入れて準備する。

「文化祭といえばさー、広人は今年もアレ出場すんの?」

























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