生徒に恋しちゃいました
「全然違う、絶対違う!!
ほらっ、もう遅いから早く帰んなさい」

結城くんを追い立てて、私も部屋に入る。
力任せにドアを閉めると、バタンっと想像以上に大きな音をたてた。

うわっ、こんな時間に近所迷惑。
もー、生徒にからかわれたくらいで何をこんなに動揺してるのよ!!

玄関に置いた全身鏡には真っ赤な顔した自分がいた。

たしかに・・・。

私は男の人と接触すると、血の気がひいて顔面蒼白になる。昔からずっとそう。

こんな、普通の女の子みたく照れたような赤い顔は自分でも初めて見る。

いつのまにか、結城くんといても気持ち悪いと感じなくなってた。
今日だって咄嗟にかばうためとは言え、自分から近づくような事をしたし。

・・・・

「そっか、男子校生活のおかげで少しずつ克服できてるのかも!
うん、期待通りじゃない! 良かった、良かった」

わざと大きな声でそう言って、頭に湧いた疑問を振り払った。

結城くんが特別なわけじゃない。
絶対違う。

何度もそう繰り返す。


その日はすぐにベッドに潜り込んだにもかかわらず、なかなか寝付けなかった。

爽やかなのにどこか官能的な結城くんの香りがどうしても消えなくて、それでなくても熱帯夜なのに私の体温はますます上昇した。













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