生徒に恋しちゃいました
「くっ、ふぁ」

あくびを噛み殺したら、妙な声が出てしまった。
職員室で小テストの問題を作っているのだけど、昨日の睡眠不足のツケが出てしまってなかなかはかどらない。

「今日くらいはお休みしてよかったんじゃないですか? 聞きましたよ、事故のこと」

「あ、小鳥遊先生。 いえいえ、事故なんて大袈裟なものでは・・・」

「けど、顔色も良くないですし。
急ぎの仕事で無ければ、早めに帰った方がいいですよ。 僕、車で来てるので送りますよ」

「いえいえ、そんなご迷惑おかけするわけには・・」

私と小鳥遊先生の押し問答は学年主任の宮田先生に打ち切られてしまった。

「広瀬先生、その足じゃ大変だろうから送ってもらいなさいよ。大事にした方が早く治りますよ。
今日はもう上がって構わないから」




「あの・・・本当にすみません。小鳥遊先生にまでご迷惑おかけして」

「いいえ。広瀬先生の家、学校からすぐですし通り道みたいなもんだから気にしないでください。 実は僕も今日は早めに上がりたかったんですよ」

小鳥遊先生は優しい嘘をついてくれた。


お世話になってる先輩にこんなに気を遣わせてちゃって・・・ダメだな、私。
怪我はともかく寝不足は自業自得なのに。
バカな事考えてないで、しっかり仕事しなきゃなー。

「広瀬先生って休みの日は何してるんですか?」

沈黙が続かない程度に小鳥遊先生がさりげなく話題を提供してくれる。

運転も振動が起きないようにすごく丁寧にしてくれてるし、大人だな。




















































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