生徒に恋しちゃいました
「桃子センセイ、このネックレスとめてくれる? あと、カツラ取って〜」

「はいはい、ちょっと待ってね」


私の手伝いなんて必要なさそうなくらいに手際よく、結城くんは色っぽい美女に変身していった。

「・・・なんか、手慣れてるね」

ネックレスの留め具をつけながら、私は言った。


「まぁ、三回目だしね。
あと俺、器用なんだ。マスカラ塗るのとか多分桃子センセイよりうまいよ」

「失礼ねぇ」


背も高いし、わりと男らしい体型なのに、不思議なくらい似合ってる・・・。


結城くんの女装姿が想像以上に可笑しくて、さっきまでの重苦しい気持ちが少し軽くなった。


「よし、完成!
どうかな? 桃子センセイより美人?」


茶髪の巻き髪のカツラをつけた結城くんが私の方に振り返る。

悪戯っぽく笑う姿はもう女の子にしか見えない。

「うん。すごい綺麗。 あんまり綺麗だから、悔しいとも思わないや」

「あははっ」



結城くんの笑い声が途絶えると、急にしんと静かになって狭い部屋がより窮屈に感じた。

二人きりという状況を嫌でも意識してしまう。


「あのさ、いっこ聞いてもいい?」

結城くんが躊躇いがちにそう尋ねた。



























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