生徒に恋しちゃいました
「うっ。 う〜ん・・」

重い瞼をうっすらと開けると、真っ白な
壁が目にはいった。

いや、壁じゃなくて天井か。
身体に触れるシーツの感触で自分がベッドに横たわっていることを自覚する。

私、いつ家に帰ってきたんだっけ?

部屋に漂う薬品の匂いが気になって、思考がまとまらない。

「あっ、起きた?」

枕元で誰かの声がする。
誰?

「ん、お母さん?」

私は思わず、そう口にしていた。

「・・・小学生かよ」

男の声?

私はすっきりしない頭を懸命に動かして
声の主を確認する。

ん? この子、朝の・・・・

あれ、私今日は先生初日で・・・

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「ごめんなさいっ」

私は彼、結城 広人くんに頭を下げた。

結城くんの説明によると、私は朝、職員室に向かう途中で倒れて、そのまま保健室に運ばれ、今までグーグー眠りこけていたらしい。

ちなみにもうお昼休みになっているそう。

昨日は緊張であまり眠れなかったとは言え、これは先生どころか社会人失格だ。

「学年主任の宮田には朝からものすごーく体調悪そうだったって説明しといたから大丈夫だと思う。

体調良くなったら、一度職員室に来いってさ。担任クラスへの挨拶は帰りのホームルームでいいって言ってたよ」

結城くんはお昼御飯なのか、コンビニのおにぎりを食べつつ私に説明する。

「・・ハイ。ありがとうございます。」

これじゃ、どっちが先生だかわからない。
あまりの情けなさに私はうな垂れた。

それにしても・・・

「えっと・・結城くんは保健委員かなにか?」

なぜ養護教諭でなく結城くんが世話してくれるんだろうか。

「あぁ、俺、先生の受け持つクラスの委員長だから。 よろしくね、桃子センセ」



































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