青春と呼ぶには僕らはまだ青くない。
「それで夢は実現出来そう?」
俺は純粋に知りたかった。
夢を持つという事、そしてその先にあるものを知ってみたかった。
「ええ、もちろん。今も夢に向かって突き進んでるわよ。形は少し変わったけどね。けれど人の為に何かを伝えていきたいっていう気持ちは変わらないわ。」
そう答えた彼女の瞳は昔と変わらぬ輝きを放ち、とても力強かった。
つい、あの頃のように引き込まれそうになる。
「君は?」
不意に与えられた質問に我に返る。
「えっ、ああ、ちょっと遠回りしたけど何とか近づいているよ。」
俺は内定先の社長とこっちに来る事になった経緯を話した。
何故、その会社に就職したのかも説明した。
「そっか、良かった。ずっと気になってたから……そっかぁ。」
独り言の様に何度も良かったと呟く彼女。
その顔を見ると心から喜んでくれているのが伝わってきた。
あれだけの騒ぎを起こして、プツンといきなり線が途切れたように終わりを迎えた俺達が今、こうして面と向かい合って珈琲を飲んでいるなんて……。
世の中、何が起こるか分からないな。