青春と呼ぶには僕らはまだ青くない。
みぃくんは言葉を選びながらゆっくり話してくれた。


思えばみぃくんとこんな風に真面目に話すなんて初めてかもしれない。


私は何処かホッとしていた。


本当なら密かに思いを寄せていたみぃくんからこんな風にずっと思っていた女性(ひと)の話を聞くなんて辛いはず。


なのに私はホッとしている。


きっと、みぃくんが遠い空を見上げる度に私は薄々気付いていたから。


みぃくんの目線の先にある何かに。


ここの所、みぃくんの様子が変わった。


それは九州に行ってからだ。


きっと私に何かを話したい筈なのに、けれどみぃくんは何も言って来ない。


良くも悪くもそれがみぃくんだ。


大事な話ほどしたがらない。


本当はそれじゃ良くないんだってこと自分でも解ってるくせに。


だから、私から動いた。


いよいよ複雑に絡まった鎖を切る時が来たんだなって思ったから。


他の誰でもない、私自身の力で。


「みぃくん、宇宙飛行士になるの?」


一通りの話を聞き終えた私はみぃくんに聞いてみた。


そう言えばみぃくんに初めて会った時、聞かれたっけ?


ーーーー宇宙の端っこってどこにあるか知ってる?


と。


だからあんな事、突然聞いてきたのか。


そんな夢を持ってたなんて知らなかったから不思議に思ったけど。


思えば私はみぃくんのずっと側にいたのに何にも知らなかったし、知ろうともしなかったな。


きっと最初から私達の見る未来が違う事を私は感じ取っていたのかもしれない。


「うーん、まぁ、行きたい気持ちはあるけど今はそれ関係の仕事に携われるだけでも良いかなって思ってる。俺なりに出来る形で携わって行けたらなって。」


「ふうん。そっか。叶うと良いね。」


「ああ、サンキュ。」


二人でいつものカフェにいて、みぃくんは相変わらずキャラメルラテをチマチマ飲んでいるのに、


何一ついつもと変わらないのに、


何故だろう。


今までで一番ちゃんとみぃくんと一緒に居るんだって感じがする。


だから私はみぃくんに言ったんだ。


「私、みぃくんの事が好きだった。」


「そっか。」


「それだけ?」


「だって過去形。」


こんな時でも冷静に突っ込んでくるみぃくんに少し悔しい気もするけど確かにそれもそうだと思えた。


好き、ではなく好きだった。


何も考えず今、私が放った言葉は過去形だ。


「ほんと、過去形だね。それじゃ、今からはーーー」


悔し紛れにみぃくんがいつも私に言ってた言葉を先に言ってやった。










「みぃくんはナルのトモダチだよ。これからもずっとね。」


冷たい金属音を鳴らしてプツリと鎖が切れたような音が私の耳に響いた。


その音はどこか私に漸く安らぎを与えた。












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