青春と呼ぶには僕らはまだ青くない。
何となくなっくんに会いづらくて、キャンパス内でもコソコソと隠れるように過ごしていた。


と言っても研究室のある棟と私達の棟は離れているからあの廊下へ進んで行かない限りなっくんに会うことはない。


なのにーーー


見たくないものほど目に入ってしまう訳で……。


見ないようにすればするほどなっくんに出くわす事があった。


と言っても私が先に見つけるので向こうは気付いていないだろうけど。


それほど私が知らない内になっくんを目で探しているのかもしれない。


そして、


聞きたくない話ほど耳に入って来る訳で…。


同じ学部の友達に聞いた話ではこの前と言うよりあれから何かとなっくんと一緒にいる女の人はどうやらなっくんがいる研究室で教授の助手をしているそうだ。


学生じゃないんだ。


通りで大人っぽいはずだ。


同じ研究室にいるなら多少親しくてもーー


という私の浅はかな思いを友達はバッサリと斬ってくれた。


どうやら教授とあの女の人を取り合ってるらしいよ、と。


あはは……


笑うしかない。


私に入る余地なんて最初からないじゃない。


馬鹿だな私。


いつだって私にくれるなっくんの優しさに甘えきっていた。


その優しさは当たり前じゃないのに。


他の誰かの為でもあるのに。


私はあまりにもなっくんの存在に気付かなさ過ぎた。


そのツケが一気に来たんだな。






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