青春と呼ぶには僕らはまだ青くない。
何てことはない。


なっくんを異性として意識したのだってつい最近のこと。


失恋っていってもしれてるじゃない。


そう思うもののーーー


どからともなくやって来るこの喪失感。


あれほどまで苦しい思いを抱えていたみぃくんの時とは違って、時が経てば経つほどにじわりじわりと傷みを感じる。


まるで紙でうっかり指先を切ってしまった時のようで、どこを切ったのか分からないくらいの傷なのに、後から手を洗ったりお風呂に入ったりした時にやたらと滲みる。


まさに今の私の心はそんな状態だ。


はぁ……


早くこの傷乾いてくれないだろうか。


卒業はまだ先だからこの調子だと嫌でもなっくんとあの人を目にしてしまう。


うっかり単位でも落として留年しようものなら更にあの二人の姿を見続けなければならないと言うとんでもない事態に追い込まれてしまう。


何としてでも卒業しなきゃ。


今は何よりも卒論に全力を尽くさなきゃ。


きっかけは少々難ありではあるけれど、この事で私は卒論に全神経を集中させることにした。





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