青春と呼ぶには僕らはまだ青くない。
何て言おうと散々悩んだあげくみぃくんには『なっくんと付き合う事になったのでこれまでみたいに会ったり連絡するのはやめるね』とだけメールで伝えた。


そもそもみぃくんが働きだしてから会うなんてなかったし、メールだってたまに来るくらいだったんだけど…


私の言葉足らずの突然のメールにもみぃくんは『ラジャ』と返すだけだった。


それ以上、何も言わないし聞かない。


だけどきっとみぃくんは何かを知っているのかもしれない。


私には想像すらも出来ない何かを。


その後、なっくんと付き合う様になったからといって、急速に私達の距離が縮まる事はなかった。


ただ、私の事を呼ぶ時「ナルちゃん」から「ナル」に変わった。


それだけの事なのになっくんが私を呼ぶ度に顔が熱くなるのが分かった。


なっくんの少し低めの声が私の心を締め付けた。


けれど相変わらず話す時は視線を微妙に外されるし、それにーーー


手を繋ぐ事はあってもそれ以上の事はなかった。


大事にされているんだって単純に思えるほど私は子供じゃない。


なっくんへの思いに気付いた以上、なっくんにもっと近付きたい。なっくんを知りたい。なっくんにたくさん触れたい…触れてもらいたい。


あの時、あの廊下で見てしまったなっくんの笑顔。


異性に向ける男の人としてのあの笑顔を私はまだ受けていない。


私…魅力ないのかな。


それともなっくんは本当に私の事、好きじゃなーー


それ以上、考えるのは止めようと思った。


繋がれた手から伝わる温もりを今は信じようと、


なのに…


あっさりとその手は離された。


なっくんとの待ち合わせ場所である本屋さんに向かった時、そこにはなっくんとみぃくんがいた。


久しぶりに会ったみぃくんに驚いてつい「みぃくん」って声に出た。


その時のなっくんの顔を見た瞬間、私は間違ったんだって思った。


いつだって冷静沈着ななっくんがいつも以上に私に目を合わす事なくその場から慌てて立ち去ったから。


私は大きな間違いをしてしまったんだってその事に気づいたら涙が止まらなくなった。


私の横をすり抜け立ち去るなっくんの顔が今にも泣きそうだったから。


それでも私は分からない。


なっくんがこの場から立ち去った意味。


なっくんの悲しそうな顔の理由。


付き合ってるのに私達はあまりにも何も知らない。


何も知らなすぎる。











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