青春と呼ぶには僕らはまだ青くない。
僕には双子の片割れである兄貴がいる。


双子と言っても性格も好みも何もかもが正反対で、ただ一つ顔だけはそっくりだった。


後、もう一つ。


好きな子も同じだった。


それはーーーナル。


ナルは元々兄貴が知り合った子だ。


何となくいつも兄貴と一緒にいた、ナルに僕も次第に興味を持つようになった。


初めはてっきり二人は付き合っているものだと思ってたけれど、兄貴もナルもそれを否定した。


けれど双子特有のそれなのか、僕にはナルに対する兄貴の思いが分かったし、


ナルに関しては見ていれば嫌でもその気持ちを知る事となる。


けれど、


同じ大学に通ってた一つ下の後輩。


最終的にそれが僕達が暗黙の了解で決めたナルの位置付けだった。


結局、兄貴はナルへの思いは決して明かすことなく、そしてナルも兄貴への思いを秘めたまま僕達は大学生活を送った。


それはまるでこの関係が崩れないようキツく鎖で縛り付けたような関係。


それでも時が流れると共に僕達の身辺も動き出す。


のらりくらりと過ごしていた兄貴も時期が来ると自慢の金髪頭を黒くし、そして柄にもなくスーツにネクタイ姿で就活を始めた。


そんな兄貴に僕は少々、肩透かしを食らった気分だった。


兄貴はもっと……なんて言うか………


普通じゃないのが普通だと思っていたから。




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