恋の種をひとつぶ


「〜っ!?」



ーーがばっ!!


先ほどまで微動だにしなかった大熊くんの頭が、いきおいよく跳ね上がった。


近い距離で、ばっちり目が合って……


……あとは、一瞬のできごと。



大熊くんは、ものすごく驚いた顔をして。


ものすごくのけぞって、バランスを崩して、ガッターーーン……!!



……けたたましい音をたてて、イスから落ちた。



「…っ…………いっ……てぇ……」

「……………」



……う



うわあああああああああっ!?わたし、なんてことを……!!



「~っ、ごっ、ごごごごごご、ごめんなさい!?」



あの大熊くんをおどろかせて、イスから落としてしまうなんて……!!


冷水を浴びたように、全身が一気に寒くなった。


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