恋の種をひとつぶ
逃げ出したいのをなんとか耐えて、それからの、1時間目、2時間目。
大熊くんのガン見攻撃は、絶え間なく、わたしの背中に送られ続けた。
……ひとからの視線って、なんとなく感じてしまうものだ。
それが、するどい眼光をもつ大熊くんから飛んでくるとなると、いくらわたしがニブくても気づく。
授業には、ちっとも集中できなかった。
……恐怖だった。
寿命がちりちりと、けずられていくみたいだった。
2時間目と3時間目の合間の休み時間には、振り返りざまにばちっと目が合ってしまい……思わず悲鳴を上げそうになった。
それ以降の、4時間目。
昼休みを通り越して、5時間目。
そして最後の……6時間目。
わたしの不安は、いよいよピークに達していた。