恋の種をひとつぶ
でも、すぐにそらして。
大熊くんは、ものすごく気まずそうに、口を開いた。
「……昨日は、どーも」
「え……?」
「寝てたの、起こしてくれただろ」
大熊くんに言われたことが、一瞬理解できなかった。
え……?あ、あれ?
昨日って。起こしてくれた……って。
てっきり怒られるものだって、思ったのに。
わたし、もしかしてお礼を言われてる……?
「昨日は、その……礼も言わないで、わるかった」
「…そっ……う、ううん!全然…っ、」
「目ぇ開けたら……栗原がいて。すっげ、びっくりして。その……逃げるみたいに、出て行っちまって」
「………、」
「だから……今朝から謝ろうと思ってたんだけど。どう声かけていいか、わかんねーし……」
え………?