恋の種をひとつぶ
聞こえてきた大熊くんの言葉に、わたしはまた、おどろかされた。
もしかして……今日ずっとわたしのこと見てたのって……それで?
怒ってたわけじゃないの?
謝ろうって、思ってくれてたの……?
とくん、とあたたかい温度が、からだの内側にやどる。
ガチガチだったからだからは、いつの間にか、力が抜けていて。
うかがうように、そろっと、大熊くんを見る。
大熊くんの顔は……真っ赤だった。
「……っ、」
自分のほっぺたにも、急に熱がのぼったように感じた。
ドキッとしてしまった。
こわいのドキドキじゃない。
それは、経験したことのないような……もっとべつの、ドキドキで。
しばらく黙ったあと、やっと絞り出した言葉。
「……あのっ、」
「……あのさ」