恋の種をひとつぶ
「……っ、」
それを見たとたん、大熊くんの顔が、ぶわっと赤くなった。
一見、なんの変哲もない、数字が並んだだけのページ。
けれど、そのページの隅には、小さく描かれた落書きがあった。
……人間。
セーラー襟がついている、女の子。
ラフなタッチで、にっこり笑っている顔。
その女の子の髪型は……おだんご頭だった。
……黒いリボンのついた、おだんご頭で。
「……なん、で…それ…」
「〜ご、ごめんね、勝手に見ちゃって…!」
「……っ、」
「でもあの、ど、どうしても、聞きたくて……っ!!」
これを見つけた瞬間、わたしのなかで、なにかがはじけたんだ。
いても立っても、いられなくなったの。
……どうしても今すぐ、聞きたくなったの。