恋の種をひとつぶ
大熊くんには、常に、そんなこわいウワサがつきまとっていたりするんだよね。
昔から、男の子はすこし苦手。
なかでも、大熊くんみたいな、大きくてこわそうなひとは……一番苦手だ。
悠真ちゃんは、恋に積極的になれって言うけど……
彼氏とか、付き合うとか。
わたしにはそんな機会、一生やってこないんじゃないかなって、最近思うんだ。
「あ、そうそう!でね!聞いてよーっ!!メンバーの中に超絶タイプの人がいてさぁ……」
目を輝かせながら、続きを話し出す悠真ちゃん。
きらきらのまぶしい笑顔に相づちを返しつつ、わたしはぼんやりと思った。
……こんなわたしでも、だれかを好きになることなんてあるのかな。
だれかを好きになって、そのだれかが、わたしを好きになってくれて。
想い合うことができる、なんて。
そんな奇跡が、起きるのかな……?