恋の種をひとつぶ


大熊くんには、常に、そんなこわいウワサがつきまとっていたりするんだよね。


昔から、男の子はすこし苦手。


なかでも、大熊くんみたいな、大きくてこわそうなひとは……一番苦手だ。



悠真ちゃんは、恋に積極的になれって言うけど……


彼氏とか、付き合うとか。


わたしにはそんな機会、一生やってこないんじゃないかなって、最近思うんだ。



「あ、そうそう!でね!聞いてよーっ!!メンバーの中に超絶タイプの人がいてさぁ……」



目を輝かせながら、続きを話し出す悠真ちゃん。


きらきらのまぶしい笑顔に相づちを返しつつ、わたしはぼんやりと思った。



……こんなわたしでも、だれかを好きになることなんてあるのかな。


だれかを好きになって、そのだれかが、わたしを好きになってくれて。


想い合うことができる、なんて。



そんな奇跡が、起きるのかな……?






< 7 / 57 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop