僕と舞ちゃん
タイトル未編集
僕が小学校一年生の時お父さんが死んだ。まだ小さかった僕はその意味が良く判らなかったけれど、その父に縋り泣いていた母がとても可哀想でその姿を見て一緒に泣いていた。
勿論死んだ人と二度と会えないと判ったのはもっと大人になってからだ、そしてそれ以来僕は母とずっと二人で暮らしている。
その父の記憶は朧げながらあるものの、もしかしたらそれはその後母から聞いて刷り込まれた物であって自分の記憶ではないのかもしれない。
ただ母はとても父の事が好きだったらしく、それだけは何回も聞く母の話から幼い自分にも容易に理解出来た。
話の中の父はとても優しくそして強く、とにかく母にとっては最高の男性だったらしい。そしてそんな父と母は周囲の反対を押し切り若くして結婚した、そして僕は生まれた。
だからなのだろうか、母からは父以外の男性の話を聞いた事が無い。
法事等で会う親戚は母に対しまだ若いのだから誰かと再婚でもしたら良いのにと言う人も居たが、そんな話に母はただ笑っているだけで、そんな話をする親戚が僕は嫌いだった。
それは笑っていてもその表情から母が苛められていたように思えたからだ。
母は若くして僕を産んだので友達の母親達と比べ歳が若かった、入学式や卒業式等に来る母を見て友人達は口々にそれを羨ましいと言ったが、他の友達は両親揃って参加するその行事にいつもたった一人で来ていた母がとても可哀想に見えた。だからそういう行事も僕は嫌いだった。
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