僕と舞ちゃん
僕は狐に抓まれたような気持ちで学校へと向かった、正直言えばがっかりしたような、肩透かしを食ったような不思議な気持ちだった。
たまに一人で乗る自転車のサドルは軽い、しかし一人で話もしないで学校に行く気持ちはそれに反比例して重かった。僕はいつもの和美との他愛も無い話しがどんなにに楽しいのか改めて感じた。
ギリギリの時間に学校に着いたので授業が始まる前に和美にサンドイッチを渡す事は出来なかった、仕方が無かったので休み時間に和美の教室を尋ねたが和美の姿は何処にも無く、それから休み時間毎に行ってみたがやはり和美の姿は教室には無かった。
(和美の奴一体何処へ行ってるんだろ?)
クラスの女子に聞いてみると和美は授業が終わると一番先に教室を飛び出し、次の授業が始まるギリギリに教室に戻って来ているとの事だった。結局お昼迄おばさんから預かったサンドイッチを和美に渡せなかった。
昼になり急いで食事を済ませた僕は和美を探し屋上や、教室、他に和美が行きそうな場所を色々探したが結局和美は何処を探しても居なかった。しかも同じクラスのテニス部の奴から聞いた話では今日は朝練など無いとの事だった。
(結局昨日の事で俺に会うのが恥ずかしいんだ)
そう思った僕は和美が僕から隠れてる事で昨日の事が夢では無い事を確信した。そしてそんな和美が愛おしく、早く会って元の楽しい関係に戻りたいと思った。
そして授業が終わると僕は校門で和美を待った、もしかしたらテニス部の練習すらサボって先に帰ってしまうのではないかと思ったからだ。そしてその予感は当たった。
「和美!」
校内から見えない位置で和美を待っていると急いで校舎を出る和美をやっと捉まえた。
「あ、慎ちゃん」
僕に見付かった和美はとても驚いてその表情はかなり強張っていた。
「何だよ、今日は。朝は黙って勝手に行くし、休み時間も居なくてさ」
「だって・・・」
そんな和美を見た僕は朝迄の緊張は何処へやら、何故か逆に気持ちに余裕が生まれていた。
「その・・まあ、何て言ったら良いか判らないけどさ。その・・昨日は突然で驚いたけど凄く嬉しかった」
「し、慎ちゃん、ここでそんな話しするのは恥ずかしいよ」
和美に言われそれもそうだと僕は思った。気が付くと授業が終わって帰る生徒が校舎からぞろぞろと出て来ている。
「じゃあ、帰ろうか?部活はいいの?」
「うん」
和美は小さくそう頷いた。
僕は駐輪場から自転車を取って来るといつものように後ろに和美を乗せて家に向かった。やはりこのサドルの重さが僕には妙に心地良い。
和美が練習をサボったお蔭でいつもより帰る時間が早く街並みは明るかった。
「慎ちゃん」
「ん?何?」
「今日はごめんね」
自転車の後ろに乗っているせいか直接僕の顔を見ないからか和美はやっと普通に僕と話してくれた。
「そうだ、さっきの続きなんだけど」
「うん」
「本当はもっと早く俺から言わないと駄目だったのにさ」
「うん」
和美はうんとしか言わない。
「昨日は突然で驚いたけど凄く嬉しかった。俺さ昔からずっと和美の事が好きだったんだ」
「本当に?」
「ああ、本当さ」
それを聞いた和美は後ろから僕の腰に手を回すとそっと僕の背中に顔を埋めた。そして僕は高校一年の初夏に和美と両想いになった。
たまに一人で乗る自転車のサドルは軽い、しかし一人で話もしないで学校に行く気持ちはそれに反比例して重かった。僕はいつもの和美との他愛も無い話しがどんなにに楽しいのか改めて感じた。
ギリギリの時間に学校に着いたので授業が始まる前に和美にサンドイッチを渡す事は出来なかった、仕方が無かったので休み時間に和美の教室を尋ねたが和美の姿は何処にも無く、それから休み時間毎に行ってみたがやはり和美の姿は教室には無かった。
(和美の奴一体何処へ行ってるんだろ?)
クラスの女子に聞いてみると和美は授業が終わると一番先に教室を飛び出し、次の授業が始まるギリギリに教室に戻って来ているとの事だった。結局お昼迄おばさんから預かったサンドイッチを和美に渡せなかった。
昼になり急いで食事を済ませた僕は和美を探し屋上や、教室、他に和美が行きそうな場所を色々探したが結局和美は何処を探しても居なかった。しかも同じクラスのテニス部の奴から聞いた話では今日は朝練など無いとの事だった。
(結局昨日の事で俺に会うのが恥ずかしいんだ)
そう思った僕は和美が僕から隠れてる事で昨日の事が夢では無い事を確信した。そしてそんな和美が愛おしく、早く会って元の楽しい関係に戻りたいと思った。
そして授業が終わると僕は校門で和美を待った、もしかしたらテニス部の練習すらサボって先に帰ってしまうのではないかと思ったからだ。そしてその予感は当たった。
「和美!」
校内から見えない位置で和美を待っていると急いで校舎を出る和美をやっと捉まえた。
「あ、慎ちゃん」
僕に見付かった和美はとても驚いてその表情はかなり強張っていた。
「何だよ、今日は。朝は黙って勝手に行くし、休み時間も居なくてさ」
「だって・・・」
そんな和美を見た僕は朝迄の緊張は何処へやら、何故か逆に気持ちに余裕が生まれていた。
「その・・まあ、何て言ったら良いか判らないけどさ。その・・昨日は突然で驚いたけど凄く嬉しかった」
「し、慎ちゃん、ここでそんな話しするのは恥ずかしいよ」
和美に言われそれもそうだと僕は思った。気が付くと授業が終わって帰る生徒が校舎からぞろぞろと出て来ている。
「じゃあ、帰ろうか?部活はいいの?」
「うん」
和美は小さくそう頷いた。
僕は駐輪場から自転車を取って来るといつものように後ろに和美を乗せて家に向かった。やはりこのサドルの重さが僕には妙に心地良い。
和美が練習をサボったお蔭でいつもより帰る時間が早く街並みは明るかった。
「慎ちゃん」
「ん?何?」
「今日はごめんね」
自転車の後ろに乗っているせいか直接僕の顔を見ないからか和美はやっと普通に僕と話してくれた。
「そうだ、さっきの続きなんだけど」
「うん」
「本当はもっと早く俺から言わないと駄目だったのにさ」
「うん」
和美はうんとしか言わない。
「昨日は突然で驚いたけど凄く嬉しかった。俺さ昔からずっと和美の事が好きだったんだ」
「本当に?」
「ああ、本当さ」
それを聞いた和美は後ろから僕の腰に手を回すとそっと僕の背中に顔を埋めた。そして僕は高校一年の初夏に和美と両想いになった。