僕と舞ちゃん
和美と両想いになったところで僕達の関係が激変するような事は無かった。相変わらず家は隣同士だったし、学校も同じだ。ただあれから宿題をするのが僕の家に変わった。
それは和美が僕と一緒に自分の親に会うのが嫌だったのか、それともいつも舞ちゃんが居ない僕の家の方が落ち着くのかは判らなかったが、とにかくあの日言以来宿題という名目で和美は僕の家に来る事が多くなった。
勿論ちゃんと宿題もしたが、和美は僕と一緒にテレビを見たり一緒にゲームをしてばかりだった。僕はこの前の事があってから和美と二人きりで居る事に少々の淡い期待もあったが、この前舞ちゃんに変に釘を刺された事、そしてその舞ちゃんがいつ帰って来るか判らない状況にただドキドキするだけだった。
僕の隣でテレビを見ながら大口を開けてゲラゲラ笑っている和美を見ると、こいつは一体何を考えているのか不思議に思う事もあったが、とりあえず誰も居ない部屋で両想いになった和美と一緒に居る事が嬉しかった。
「ただいま」
その時舞ちゃんが帰ってきた、時計を見ると九時を少し回っている。最近仕事が忙しいのか、前にも増して帰りが遅くなる事が多くなっていた。
「お帰りなさい」
「あら和美ちゃん居たの?」
「うん、慎ちゃんと宿題やってたの」
「嘘付け!さっきからお前はテレビばっかり見てたじゃないか」
和美は舞ちゃんに対してそう都合の良い事を言っている。
「あはは、この時間パパが野球を見るから家で見たいテレビが見れなくて、それで宿題を兼ねて慎ちゃんちでテレビ見てました。あ、でもそろそろ帰らないと、じゃあ慎ちゃん、また明日ね、おばさんお休みなさい」
と言って和美は自分の家に帰ってしまった。
「随分と遅かったね」
そう言って舞ちゃんに近付くと珍しく舞ちゃんからお酒の匂いがした。
「判る?飲んできたの?」
その僕の表情から舞ちゃんがそう言った。
「うん、まあね、お酒の匂いがするから。でも珍しいじゃん、お酒なんて飲んで来るの」
「そうね、この四月からうちの営業所に転勤した人がお酒好きで、それでつい、ね」
「そうなんだ、まあ仕事の付き合いも大事だよね」
僕は内心これからも舞ちゃんが遅くなるなら和美と二人で居る時間が増えると思いそんな事を口にした。
「慎太郎も高校生になったし、その辺は今迄より安心してお酒にも付き合えるわ」
「そうだね、これからは安心して飲んで帰ってきても良いよ」
と言った僕であったが、その時に今度転勤してきた人の事をもっと聞いておけば良かったと後で思った。
「生意気言って!本当は色気付いて和美ちゃんに変な事をしようと考えてるんじゃないでしょうね?私が遅くなるのを良い事に」
「ば、馬鹿な事言わないでよ」
「なんだ、慎太郎、赤くなって。あなた図星だったんじゃないの?危ない、危ない。これじゃおちおち飲んで帰れないわね、私が遅くなって和美ちゃんに何かあったらお隣に申し訳ないわ」
「まったく、酔ってるんじゃないの?舞ちゃん、風呂入ってさっさと寝た方が良いよ」
僕はそう言うとさっさと自分の部屋に戻った。
(あ~、びっくりした。いきなり変な事を言うから焦った、焦った)
僕は舞ちゃんに何もかも見透かされているのじゃないかと思ってしまった。
それからも舞ちゃんは仕事なのか、付き合いなのか前よりも帰ってくるのが遅くなる事が増えた、ただ前より仕事に行くのが楽しそうなように見えた。
家に帰ってきて何かを食べる時は残業らしく、家で何も食べない時は飲んで来た時だと僕はその違いが何と無く判った。それでもどんなに遅くても九時半には帰って来ていた。
それは和美が僕と一緒に自分の親に会うのが嫌だったのか、それともいつも舞ちゃんが居ない僕の家の方が落ち着くのかは判らなかったが、とにかくあの日言以来宿題という名目で和美は僕の家に来る事が多くなった。
勿論ちゃんと宿題もしたが、和美は僕と一緒にテレビを見たり一緒にゲームをしてばかりだった。僕はこの前の事があってから和美と二人きりで居る事に少々の淡い期待もあったが、この前舞ちゃんに変に釘を刺された事、そしてその舞ちゃんがいつ帰って来るか判らない状況にただドキドキするだけだった。
僕の隣でテレビを見ながら大口を開けてゲラゲラ笑っている和美を見ると、こいつは一体何を考えているのか不思議に思う事もあったが、とりあえず誰も居ない部屋で両想いになった和美と一緒に居る事が嬉しかった。
「ただいま」
その時舞ちゃんが帰ってきた、時計を見ると九時を少し回っている。最近仕事が忙しいのか、前にも増して帰りが遅くなる事が多くなっていた。
「お帰りなさい」
「あら和美ちゃん居たの?」
「うん、慎ちゃんと宿題やってたの」
「嘘付け!さっきからお前はテレビばっかり見てたじゃないか」
和美は舞ちゃんに対してそう都合の良い事を言っている。
「あはは、この時間パパが野球を見るから家で見たいテレビが見れなくて、それで宿題を兼ねて慎ちゃんちでテレビ見てました。あ、でもそろそろ帰らないと、じゃあ慎ちゃん、また明日ね、おばさんお休みなさい」
と言って和美は自分の家に帰ってしまった。
「随分と遅かったね」
そう言って舞ちゃんに近付くと珍しく舞ちゃんからお酒の匂いがした。
「判る?飲んできたの?」
その僕の表情から舞ちゃんがそう言った。
「うん、まあね、お酒の匂いがするから。でも珍しいじゃん、お酒なんて飲んで来るの」
「そうね、この四月からうちの営業所に転勤した人がお酒好きで、それでつい、ね」
「そうなんだ、まあ仕事の付き合いも大事だよね」
僕は内心これからも舞ちゃんが遅くなるなら和美と二人で居る時間が増えると思いそんな事を口にした。
「慎太郎も高校生になったし、その辺は今迄より安心してお酒にも付き合えるわ」
「そうだね、これからは安心して飲んで帰ってきても良いよ」
と言った僕であったが、その時に今度転勤してきた人の事をもっと聞いておけば良かったと後で思った。
「生意気言って!本当は色気付いて和美ちゃんに変な事をしようと考えてるんじゃないでしょうね?私が遅くなるのを良い事に」
「ば、馬鹿な事言わないでよ」
「なんだ、慎太郎、赤くなって。あなた図星だったんじゃないの?危ない、危ない。これじゃおちおち飲んで帰れないわね、私が遅くなって和美ちゃんに何かあったらお隣に申し訳ないわ」
「まったく、酔ってるんじゃないの?舞ちゃん、風呂入ってさっさと寝た方が良いよ」
僕はそう言うとさっさと自分の部屋に戻った。
(あ~、びっくりした。いきなり変な事を言うから焦った、焦った)
僕は舞ちゃんに何もかも見透かされているのじゃないかと思ってしまった。
それからも舞ちゃんは仕事なのか、付き合いなのか前よりも帰ってくるのが遅くなる事が増えた、ただ前より仕事に行くのが楽しそうなように見えた。
家に帰ってきて何かを食べる時は残業らしく、家で何も食べない時は飲んで来た時だと僕はその違いが何と無く判った。それでもどんなに遅くても九時半には帰って来ていた。