僕と舞ちゃん
翌日いつものように僕は和美を後ろに乗せ学校へ向かっていた。
「ねえねえ、慎ちゃん」
「あ?何だよ」
「昨日のおばさんの話ってどう思う?」
「昨日の話しって何がさ」
「もう!おばさんがもう一回恋愛しようかなって言った話よ」
「あんなの冗談に決まってるだろ?」
僕はそう吐き捨てるように言った。あんな話は冗談に決まってる、いやして欲しかった。
「そうかな?私は結構マジだと思ったけど。でもさ、もし昨日の話が本当だったら慎ちゃんどうするの?」
「どうって?」
「だからおばさんに恋人が出来たらって事。賛成?それともやっぱり嫌?」
「そ、そんなの・・・考えた事もないよ」
そう、僕は昨日迄そんな事は考えた事は無かった。確かに若い時からずっと一人だった舞ちゃんの事を可哀想だと思っていたし、そんな舞ちゃんに誰かが居たらと思った事はある。
でもそれは舞ちゃんの好きな、そして僕の本当のお父さんじゃなければ駄目だった。
お父さんを生き返らせて下さいと子供心に何度も神様にお願いしていた。
「でもさ、私が言うのも生意気だけど慎ちゃんが将来結婚したらおばさん今度こそ一人きりになっちゃうのって可哀想だよね」
「そ、それはそうかもしれないけど。そんなの仕方がないし、まだずっと先の事だろ」
「まあね、でもうちのママが言ってたけど女がずっと一人で居るのって寂しいみたいよ、精神的に。それにこんな言い方をしたら変だけど女って誰かの温もりが欲しい時があるんだって」
「何だよ、それ!」
そんな事は想像もしたくなかった、僕の舞ちゃんは女だけどそんな女じゃない。
「うん、私も意味は良く判らないけど今は何と無くは判る気がする」
「益々意味が判らないよ」
「この前さ、慎ちゃんが私の事を好きだって言ってくれたでしょ?」
「何だよ、そんな話今言う事じゃないだろ!」
「いいから、黙って聞いて!」
「判ったよ、だから何だっていうのさ」
その時和美は僕の腰に手を回すと自分の顔を僕の背中に埋めた。
「あの時嬉しかったんだ、私。そして今慎ちゃんが私の前に居るでしょ?こうして手を伸ばせばここに居る。こうしているだけで何か安心しちゃうんだよね、女として。だからそういう事かなって思うんだ、ママが言った事って」
そう言われたら僕だってそうだ、華奢な手で僕に掴まっている和美をとても愛おしいと思うし、守ってあげたいと思う。それは僕が男だという生き物だからなのだろうか?
「そう思うと慎ちゃんのおばさんて、寂しい時はどうしてるのかって思っちゃう」
それを聞いた時僕はハッとした。今迄舞ちゃんの事を可哀想だとは思った事はあったが、そんなふうに考えた事は無かった。
それにいつも元気な舞ちゃんに寂しい時があったなんて考えた事も無かった。
「だからさ、もしおばさんに好きな人が出来たら賛成してあげなきゃ駄目だよ、慎ちゃん」
「ま、そんな事は無いと思うけど、もしそうなったらな」
「なら良かった」
そう言った僕であったがそれは本心では無かった。やっぱり舞ちゃんの好きな男は僕のお父さん以外の人では嫌だった。それは他の人が嫌だと言うよりあれだけ僕にお父さんが好きだと言っていた舞ちゃんが他の人を好きになる事が信じられなかったし、許せなかった。
初夏から夏になる梅雨空のように僕の心の中もどんよりと曇っていた。
「ねえねえ、慎ちゃん」
「あ?何だよ」
「昨日のおばさんの話ってどう思う?」
「昨日の話しって何がさ」
「もう!おばさんがもう一回恋愛しようかなって言った話よ」
「あんなの冗談に決まってるだろ?」
僕はそう吐き捨てるように言った。あんな話は冗談に決まってる、いやして欲しかった。
「そうかな?私は結構マジだと思ったけど。でもさ、もし昨日の話が本当だったら慎ちゃんどうするの?」
「どうって?」
「だからおばさんに恋人が出来たらって事。賛成?それともやっぱり嫌?」
「そ、そんなの・・・考えた事もないよ」
そう、僕は昨日迄そんな事は考えた事は無かった。確かに若い時からずっと一人だった舞ちゃんの事を可哀想だと思っていたし、そんな舞ちゃんに誰かが居たらと思った事はある。
でもそれは舞ちゃんの好きな、そして僕の本当のお父さんじゃなければ駄目だった。
お父さんを生き返らせて下さいと子供心に何度も神様にお願いしていた。
「でもさ、私が言うのも生意気だけど慎ちゃんが将来結婚したらおばさん今度こそ一人きりになっちゃうのって可哀想だよね」
「そ、それはそうかもしれないけど。そんなの仕方がないし、まだずっと先の事だろ」
「まあね、でもうちのママが言ってたけど女がずっと一人で居るのって寂しいみたいよ、精神的に。それにこんな言い方をしたら変だけど女って誰かの温もりが欲しい時があるんだって」
「何だよ、それ!」
そんな事は想像もしたくなかった、僕の舞ちゃんは女だけどそんな女じゃない。
「うん、私も意味は良く判らないけど今は何と無くは判る気がする」
「益々意味が判らないよ」
「この前さ、慎ちゃんが私の事を好きだって言ってくれたでしょ?」
「何だよ、そんな話今言う事じゃないだろ!」
「いいから、黙って聞いて!」
「判ったよ、だから何だっていうのさ」
その時和美は僕の腰に手を回すと自分の顔を僕の背中に埋めた。
「あの時嬉しかったんだ、私。そして今慎ちゃんが私の前に居るでしょ?こうして手を伸ばせばここに居る。こうしているだけで何か安心しちゃうんだよね、女として。だからそういう事かなって思うんだ、ママが言った事って」
そう言われたら僕だってそうだ、華奢な手で僕に掴まっている和美をとても愛おしいと思うし、守ってあげたいと思う。それは僕が男だという生き物だからなのだろうか?
「そう思うと慎ちゃんのおばさんて、寂しい時はどうしてるのかって思っちゃう」
それを聞いた時僕はハッとした。今迄舞ちゃんの事を可哀想だとは思った事はあったが、そんなふうに考えた事は無かった。
それにいつも元気な舞ちゃんに寂しい時があったなんて考えた事も無かった。
「だからさ、もしおばさんに好きな人が出来たら賛成してあげなきゃ駄目だよ、慎ちゃん」
「ま、そんな事は無いと思うけど、もしそうなったらな」
「なら良かった」
そう言った僕であったがそれは本心では無かった。やっぱり舞ちゃんの好きな男は僕のお父さん以外の人では嫌だった。それは他の人が嫌だと言うよりあれだけ僕にお父さんが好きだと言っていた舞ちゃんが他の人を好きになる事が信じられなかったし、許せなかった。
初夏から夏になる梅雨空のように僕の心の中もどんよりと曇っていた。