僕と舞ちゃん
翌朝いつもより早く目覚めた僕はいつものようにシャワーを浴びるととても緊張しながら和美が来るのを待っていた。
しかしいつもの時間が過ぎても今日に限って和美は現れなかった。
「和美ちゃん珍しく遅いわね」
舞ちゃんも和美が来ない事を不思議に思ったようだ。
「寝坊でもしたんじゃない?」
そう言った僕であったが、内心は舞ちゃんが居る時に和美に来て欲しかった。とりあえず昨日の今日で二人で会うのは少々気まずい。
「具合でも悪いのかしら?慎太郎、あなたも判ってるとは思うけど女の子は年頃になると色々あるんだからそういう時は気を遣ってあげなきゃ駄目よ」
多分舞ちゃんが言っているのは女性に毎月来る生理の事を言っているようだった。実はこれも僕が困っている事の一つだった。
洗面所の棚を開けると舞ちゃんの生理用品がある、僕はそれを見るのが恥ずかしかった。
「判ってるよ、そんな事」
「ならよろしい!たまにはあなたが自分から迎えに行ってあげたら?そして和美ちゃんが少しでも具合が悪そうだったら優しくしてあげるのよ。そういう時って女の子は精神的にもイライラするんだから、判った?」
「はいはい」
「じゃあ私は会社に行くから、ちゃんと鍵掛けて気を付けて行くのよ。それからこれから突然遅くなる時もあると思うけど、そういう時は連絡するから夕飯も自分で食べてね」
と言って舞ちゃんは出掛けてしまった。それから暫く和美を待ったが一向に和美は来ない。
流石にもう家を出ないと遅刻になると思った僕は珍しく自分から和美を迎えに行った。
「和美~、そろそろ行かないと遅刻しちゃうぞ」
そう玄関で声を掛けると慌てて和美のおばさんが出て来た。
「あら慎ちゃん、和美なら今日は朝早く学校に行ったけど」
「え?そうなんですか」
「テニス部の朝練があるからって急いで出掛けていったわよ、私も急に言われて。だからあの子ったら朝ご飯も食べて行かなかったの」
「そうですか、判りました」
「あ、そうだ。あの子お腹空くと思うからこっそり休み時間に食べるようにこれ渡しておいてくれない?お弁当は持たせたんだけど、朝抜きで練習じゃお昼迄もたないかと思って」
そう言っておばさんはサンドイッチを僕に手渡した。
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