愛の贈り物
俺はいつもより早く家を出た。

いつも通り通学路を歩いていると、前から俺に手を振る女の子がいた。

幼なじみの大前愛(おおまえあい)だった。

「おはよう」

俺は右手を挙げた。

「久しぶり、たかちゃん元気?」

「ああ。」

俺は素っ気ない感じで言った。

「たかちゃん、中央高校に行ってんだ。たしか、みよと一緒だよね?」

「ああ」

俺は適当に言った。

「遅刻するから、先行くわ」


俺は愛と話しているより、早く夏焼さんに最中を食べさせたかった。


「待ってよ!一緒に学校行こう」


「いやだ!!てか、俺と高校違うから一緒に学校なんか行けないだろ!!」


本当は愛と2人で歩いている所を夏焼さんに見られるのが嫌だった。


「……そう。私、東中央女子高校です。東中央女子高校なら中央高校に近いから大丈夫!ねえ?たかちゃん一緒に行こう?」


「あのな〜高校が近いから一緒に行くとかじゃなく……」

俺は愛から逃げようと必死だった。
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