世界で一番ソラに恋した。
大きなヘッドフォンと、サラサラの髪が地面でバラバラに揺れている。

笑いすぎて涙目になっている男の人は、――同じクラスの。

「えっと、立花くんだっけ?」

「ぷぷぷ。全く違う。佐崎だよ。あはは、酷い。名前まで忘れてる!」


笑い転げる佐崎くんは、このままタンクから落とそうで慌てて両手で腕を引っ張った。

「危ないよ、佐崎くんっ 落ちるってば」

「あはは、大丈夫、でも、笑いが大丈夫じゃない」

いつまでも笑っている佐崎君の腕を離すと、両手をグーにして叫ぶ。

「し、身長を伸ばす為に頑張ってるのに笑うなんて酷いっ」
「へ」
「背が高い佐崎君には分からないよ! ば、馬鹿にして笑って酷いっ。佐崎君なんて佐崎君なんて」

恥ずかしくて惨めで涙が込み上げてきた。

思い切りお腹にカバンを投げつけると、捨て台詞を吐いて飛び出した。


「佐崎君なんて、塀に頭をぶつけてしまえ!!」
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