世界で一番ソラに恋した。

「ソラ君は、――奈菜と対決でしょ」

冷静を装いつつもなんだか不自然に目をそらしてしまった。

可愛げがない仕草に、ソラ君は苦笑するだけ。

「あれ本気なんだ」

「本気しか言わないもん」

「本気しかって意味わからねー」

くくっと笑うと、先に歩き出していた前の皆が、不満げにえええ~と声を荒げている。


「どうしたの?」


皆の背中しか見えなくて、皆が見ている看板が見えない。

「カラオケ、待ち時間2時間ってさ」

「ひゃ~」


「テスト明けだもんね、ほら、隣のクラスの子らも来てる」

「おし、行くぞ」


皆の声を無視して、久保先輩が中へ入っていく。


「先輩?」


「俺、予約してんだよ、パーティールーム」
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