世界で一番ソラに恋した。

「あんたは、私の事を気にしてる場合? もう少し、ソラと何か話しなさいよ」

「だって、本人が花火大会までって言うんだもん」

「言うんだもん、じゃないわよ。何いってるんだが」


炭酸ジュースを継いでちびちび飲みながら、奈菜が私をじとーっと睨んでくる。

わ、私が一歩足を出したら、ソラ君は頑なだから、二歩は下がるってば。



「武井さん」

ココアを選んだ私が、ボタンを押したのと同時ぐらいだった。

奈菜を名字で呼ぶその人は、不安そうな女の子たちが見守る中、奈菜に話しかけた。


「びっくりした。武井さんが来てるって女子が話していたから」

「――生徒会長さん。こんにちは」

そっけなく奈菜が挨拶するとまたちびちびジュースを飲みだした。
いや、そっけないんじゃない。
奈菜はいつもクールで愛想笑いもしなくてこんな感じなんだ。


久保先輩の時だけ、テンションがおかしいだけで。
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