世界で一番ソラに恋した。



「結構俺は、武井さんと連絡取りたいって頑張ったんだけど」

眼鏡の奥が寂しげに笑う。

うーーん。確かにインテリっぽい、好青年な雰囲気で、大人っぽくて格好良いと思う?

よく分からないけど、女の子受けが良さそうだなってのは分かった。


「そうなんだ。ごめんね。私、好きな人が出来ると男友達と連絡しなくなっちゃうタイプみたいで」

長い真っ直ぐな髪を、指先で遊びながら、奈菜は『男友達』『好きな人』と、生徒会長をばっさり牽制してしまった。


ひー。
聞いている私の方が、何だか胸を抉られる。



「好きな、人?」
「そう。花火大会も一緒に行くことになったし、甚平とか浴衣とか着方も分からない癖に買っちゃってさ、あゆの家で着せてもらう事になっちゃって。ふふ。すっごい今、楽しみなの」


前髪を上げながら―――奈菜はキツイ。

自分に好意を持ってる人にそんな、全く気が無い素振りを見せて容赦ない。
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