世界で一番ソラに恋した。


さっきまで一番暴れていた久保先輩が、頬杖付きながらラッシーを飲んでいる。

ひとしきり暴れて落ちついたんだろう。


「お前、なんで言い返さないンだ」


横を向いて座り、何も操作していないスマホばかり見て俯くソラ君に、久保先輩が静かにそう言った。

「家に帰りたくないる理由も、サッカー辞めた理由も、俺達は分かってた。だから、しばらくお前を見守っていたのに、お前はそれでいいのか。全部奪われるぞ」

「……もう、どうでも良かった、ッす」


携帯の画面を真っ暗にすると、床に力なく落とした。


さっきの――ソラ君なら、虚ろな瞳をしていたソラ君なら、

本当のあの場面で生徒会長の頭を蹴り飛ばしていたと思う。

今頃になって、背筋がゾクリと怖くなってしまった。

「死ねばいいって思ってた。毎日。
人を憎むのってしんどくて、――家に帰るのが億劫になって」
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