世界で一番ソラに恋した。
ふらふらと、家に帰らずに夜をさまようソラ君が想像できて、何だかとっても胸が痛んだ。
苦しくなった。
「あの家には、俺の居場所はなくて。あいつも後から出て来た癖に、俺の場所だったところで俺を見下してるし。家族がバラバラで。俺の楽しみは、もうなかった。何事にも一生懸命で前向きで、人なんて嫌ったことなさそうなあゆとあの場所で――待ち合わせするまで」
「えっ えっ」
い、今、ソラ君の話をしていたよね!?
なんでいつのまに私の話を入れて来てるの!?
「あゆ、真っ赤になりすぎだから」
「冷たっ」
奈菜が頬に冷たいグラスを当ててきて、思わず悲鳴をあげてしまった。
「あゆに触れたら俺も優しくなれるのかな」
椅子の上で体操座りをすると、顔を埋めてしまった。
だから、真正面に座っていた私は、隣に移動して、ソラ君の頭を撫でた。