世界で一番ソラに恋した。
カレー屋さんの店長がインド人で、日本語があまり上手くないのが原因だとか言ってたけど、商店街で交流がないのは、営業にも響くらしくてちょっと可哀想。
笑顔がコロコロした可愛い店長なのに。

「ううう、でも、もう駄目だ。サッカー部って皆、背が高いし怖いし、明日には
サッカー部全員に私が変な儀式してたって笑われちゃうんだ。雨笠愛結じゃなくて、雨乞いのあゆとか変なあだ名付けられて、秘密もばれちゃったし退学かも。うううう」

「雨乞いのあゆって可愛いじゃん。秘密って屋上の鍵のこと?」
「うん。内緒だって言われてたのに」
「その鍵、ちゃんと持って帰ってきた? 当然、証拠隠滅してきたよね?」

手持無沙汰で御盆で、自分の腰をトントン叩く奈菜は、しっかりしている。

私、――私、恥ずかしさのあまり逃げ出してしまったのに。


「佐崎って、そんな悪そうな奴じゃない気がするけど。なんか――影があるけど」
< 12 / 190 >

この作品をシェア

pagetop