世界で一番ソラに恋した。
「佐崎君って名字、佐崎くんだった?」
「アンタ、ちょっと頭おかしくなってない? ラッシー御代りする?」

何で私、佐崎君の名字間違えちゃったんだろう。

サッカー部のグループってクラスでも目立つのに。
その中でも、180センチ近い佐崎君は、誰よりも目立っていた。
馬鹿騒ぎするサッカー部の人たちの輪に入っているけど、一歩後ろで見ているような。

それでいて、――ちゃんと輪に入って静かに笑えているような。

ちょっと大人しい人なのかなって感じぐらいしか感じていなかった。


「そう言えば、そうねえ」
「奈菜?」

「野球部の男の子たちが、佐崎君の事、蒼空(そら)って呼び捨てしてたからじゃない? だれも名字で呼ばないもの」

「あああ、なるほど。そうだ、下の名前しか聞いたことないかも!」
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