世界で一番ソラに恋した。


「はいはい、おまたせ、二人とも」


うちの親が嬉しそうに私たちの部屋にやってきた。

「あら、今日はお団子じゃないのね」

「まあね。彼氏と初デートだから気合いれなくちゃね」

初デート!
そうか、私とソラ君、初デートになっちゃうんだ。そっか。

嬉しくて暴れたい半面、

二学期からソラ君が居なくなるんだと思うと素直に暴れられない。


「じゃあ、可愛くしなくちゃ」

親も興奮し出して、襟元に飾るレースを熱心に選び始めた。


「久保君は、大学はサッカー辞めてしまうのね。プロになるかと思ったわ~。スカウトも来てたんでしょ?」

「そうなの!? 奈菜!?」


万歳した私のまわりを、親が帯を巻きながらせっせと動き回る。


「でも、警察官か弁護士になるのが夢なんだってさ」

「……二つも」
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