世界で一番ソラに恋した。
いやいやいや、奈菜を嫌う人なんていないんじゃないかな。
でも、でも、
そんな風に奈菜を悩ませてたなんて、久保先輩凄い。
いや、奈菜が――可愛いのかな。
「よし、出来たわよ、あと、シュシュを予備に手に付けてなさい」
「えーなんで?」
お母さんが黒いシュシュを渡してきたけれど、折角の浴衣のコーディネートに合わなくて不満だった。
「たまにね、草履の紐が切れちゃうときがあるんだけど、シュシュで固定すれば大丈夫だから。応急処置よ」
「流石、歳の功! じゃあ、私は手につけとこう」
「じゃあ、私も」
奈菜も付けるならしょうがないと渋々つけた。
「さ、イケメン二人がお待ちかねよ」
「はいはーい」
もう一度だけ鏡で、お団子じゃない自分を見てから1階のリビングで待つ二人の元へ急いだ。