世界で一番ソラに恋した。
「あ、そうなんだ。だから皆、蒼空くんって呼ぶんだね」
「うん。だから、俺の名前を呼んで。ソラって、呼んで」

乞うように、寂しそうに聞こえた。

茜色に染まる空の中、混じり始めた夜の色みたいに。

ソラくんの声は、夜みたいに寂しく私の心に染みわたる。

「うん。ソラくん、下校の時間だから帰ろう?」

大きな――180センチ以上はあると思う大きなソラくんを見下ろすのは、何だか不思議な気がしたけど、見下ろして手を出す。
「まだ5分は居られる」
「校舎、締められるよ。あと、鍵、返してもらってもいい?」

ソラくんの手には、私のカバンと自分の鍵、そして握っている手の中から、カレーのストラップが見えた。

「何で、雨笠さんは、屋上の鍵を持ってるの?」
「わわ。何でいきなり核心を突くの! ……秘密なのに」

その秘密を、ソラ君に言っていいのか私にはまだ良く分からない。

「秘密か」
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