世界で一番ソラに恋した。
丁度、一定間隔で並んでいる木の回りにベンチが置いていたので、ソラ君と私は一緒に座った。
「新しいのにね」
「いや、実は値段の紙、なかなか切れなくて挟みで鼻緒までちょっと切ってたんだよなあ」
「あはは。意外と雑だね、ソラ君」
持っていたシュシュで応急処置をして下駄を渡した。
「おーすげー。女子力たけー」
「女子力!」
思わず噴き出してしまった。こんな事で驚いてもらえるなら本当に良かった。
「お母さんから教わっただけだよ。でも、良かった、教わってて」
にっこり笑ったら、ソラ君は目を細めて、私の頬を触る。
その触れた体温が優しくて――不意に泣きだしたくなるような切なさが込み上げてくる。
「今日の髪、いつもと違って俺もめっちゃドキドキしてるよ」
そんな事もさらりと言える癖に、
ソラ君って本当にズルイ。