世界で一番ソラに恋した。


「ソラ君、私ちょっとトイレ行って来てもいい?」


上手に笑って――私は初めてソラ君に嘘をついた。


その嘘は、後ろめたさしかないけれど、上手に笑えたかな?


「うん。いいよ」

「あのね、毎年すごく混むから、もしかしたら遅くなるかもしれない。先に何か買って食べててね」



「分かった」

心配し過ぎと、ソラ君が笑うので私も苦笑して誤魔化した。



トイレは確かに公園にあるもん。

うっかり、――ほんとうにうっかり会ってしまうかもしれない。

だから、嘘じゃないよ。


嘘では――。
< 164 / 190 >

この作品をシェア

pagetop