世界で一番ソラに恋した。


岳君を呼ぶ、ふっくらとしたお腹の顎髭が生えたおじさんが缶ビール片手に此方に近づいてきた。


「佐崎蒼空君のお父さんですか?」

心臓がきりきりと痛んだ。

ソラ君は家に帰りたくなくてうろうろしたり、屋上に逃げてきたり、
傷付いてボロボロなのに。

なのに、この人、なんで缶ビールなんて持って呑気にこんな所にいるんだろう。

「ああ。そうだが、君は、蒼空の学友かな?」

「彼女みたいですよ」

「!?」


生徒会長の要らない説明に、真っ赤になりながらも、一回、深呼吸をした。




「岳くんが、ソラ君を愛人の子だと家で蔑にしている事について、貴方はどうお考えなのかと話を聞きたくてきました」

「おい!」

「そう言ったから、サッカー部の人や、先輩が怒ったんですよね?
私、知ってますから」
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