世界で一番ソラに恋した。
「あの家から出ていくから、――後は父さんが好きにして」
「蒼空」
「母さんの名字に変わる。経済的に母さんは私立に転入は収入面でキツイって言ってたけど特待生の試験に合格したし、そう決めたから」
何も本当に知らなかったのか、ソラ君のお父さんは更に青ざめていた。
ソラ君のお父さんの気持ちは、私には分からないけれど、
でも、ソラ君を大事にしているんだってことだけは理解出来た。
岳君の事も――、蔑にはしないらしいってことも。
ソラ君に手を引っ張られて私はまた露店が並ぶ海沿いへ歩いて行く。
岳君とお父さんが何か顔を見合わせて話をし出したのが見えただけで、あとはぐんぐん歩くソラ君を追いかけるだけがやっとだった。