世界で一番ソラに恋した。


異例中の異例で、(私しかそもそも知らなかったし)ソラ君の転入が取り消されたのは、本当に夏休みが終わろうとする八月の最後の週だった。


何度も色んな場所へソラ君のお父さんが頭を下げるのを見て、ソラ君も一緒になって頭を下げに行っていた。


お父さんのソラ君の為に頭を下げる姿を見て、溜飲を下げてくれたのだと思う。分かり会うのは難しくても、すぐに歩み寄れなくても。

少しずつでいい。
焦らなくて良い。

私は応援する。








それとほぼ同時ぐらいだったかな。
ソラ君は、久保先輩が大学に受かった際に二人暮らしをすることを親から承諾してもらった。

これは、久保先輩からの提案だった。

だから久保先輩は、この高校に近い、それでいてレベルのそこそこ高い大学に受験してくれているらしい。



それまでソラ君は、お母さんの実家から此処まで一時間半かけて通学していたけれど、漸く学校の近くで一人暮らしが始まった。

その一人暮らしのアパートはお父さんが手配してくれたらしいし、時々お父さんが尋ねてくれたり外食に誘ってきてくれたりしている。


試合の応援や部活の見学も遠くでしているのが見えた。

一人暮らし未経験の私と、初心者マークのソラ君は、毎日がドキドキだ。


料理をしたことが無い私とソラ君は毎日、料理本と睨めっこしたり、うちの親がタッパに色々詰めて渡したりしている。
< 184 / 190 >

この作品をシェア

pagetop