世界で一番ソラに恋した。
「あー。終わったああああ」
ソラ君が背伸びをしながら、部室から出てくると、すぐに私の所へやってきた。
私たちの待ち合わせ場所の屋上は――封印した。
お互いに逃げ場所だった。
あそこがあるから心のバランスが崩れなかった。
そして、あそこで私たちは出会えた。
あそこが大切で、かけがえのない場所なのは今も変わらないのだけれど、私たちはお互いの秘密を共有している。
だから、もう隠れて傷を癒す場所は要らないんだ。
鍵を返して私たちは寄りそって、帰る。
二人乗りはとうとう先生に見つかってしまって怒られちゃったので、(当たり前だけど)ソラ君も自転車を買った。
ソラ君と星がチカチカする夜空の下、一緒に帰るのは本当に嬉しい。
「お疲れ様、ソラ君」
「あゆもお疲れ。今日もありがとうな」
穏やかな笑顔で言われたら、顔がボンと赤くなってしまうのは相変わらずだ。
こんなに付き合って一緒に居るのになれなくて、ドキドキする。
「あゆの家、今日は何?」
「カレー」
「俺、あゆの家に行きたくなる周期にカレーが重なるんだけど」
頭をポリポロと掻くソラ君に、私は爆笑してしまう。
新人戦二位の結果のせいで、色んな高校から練習試合が増えたし、部活の練習も、人数も増えたらしく、私と奈菜、愛達もマネージャーに立候補してめでたくマネージャーとして日々駆けまわっている。
「今日もお疲れ様だね。今日も泊まる?」
「流石に、昨日はあゆのお母さん怒ってたじゃん。いつまで二人はゲームしてんのって」
「あは。そうそう。灰人は一応、受験生だからね」
すっかり一人暮らしを心配されたソラ君は、うちの親のお節介に甘えてうちに入り浸りだったりする。