世界で一番ソラに恋した。
「……今日、応援してる女の子がいっぱい居た」
「あはは。サッカー部って案外人気あるんだな」
「全部、ソラ君だったよ」
能天気なソラ君に、恨めしげに言ってしまった自分は、今、最高に可愛くない。
こんなこと行ってしまう自分が本当に嫌だ。
「そう? 全然気づかなかった」
「身長より心の小さい自分が嫌になっちゃう」
「――え!? あ、嘘、あゆ、やきもち焼いてくれてんの?」
途端にぱああっとソラ君が笑顔になったと思ったら、夕焼けみたいに真っ赤になった。
「あはは。嫌にならないでよ、俺、超嬉しい。やっべ、超うきうきしてきや。今ならカレー何杯でも食べられそう」
「ソラ君……」
なんで、そんなに……もう!
ソラ君のその変わらない癒しオーラにいっつも私は救われている。
もう、そんな小さな嫉妬しない。
こんなにもソラ君が私の事を思ってくれてるんだから。
佐崎の名字から、立花に変わっても。
サッカーの新人戦で一番、ゴールを決めた期待の選手だとテレビで特集されても、
ソラ君は私にとってはあの日の花火大会の時の、――胸を焦がすような優しい笑顔のソラ君だ。
周りが変わろうとも、私の気持ちは相変わらず、ソラ君が好き。
ソラ君も、いつも通りで天然のくせに情熱的で、優しいのに強引で。
コロコロ変わる空みたい。
「ソラ君の気持ちに届いた気がしてたのに、また遠くの空に上がって行ってる気がする」
「何だよ、それ。俺にはあゆは太陽みたいにキラキラと元気を貰ってるのにさ」
「あはは。それ、良いね。雲と太陽じゃなくてソラと太陽って素敵」
「――本当なんだけど、な。あゆが居なかったら俺、母さんに負担かけさせてまで、私立に転校して皆とも親とも逃げてしまうところだったよ」
そう言ってソラ君が自転車置き場で立ち止まると私の腕をひっぱった。