世界で一番ソラに恋した。

「背中に顔を埋めてたら気付かれないよ。もう、日も落ちたから、見られる心配もないって」

「うううー。ソラ君を信じるからね!」

「はは。大船に乗ったつもりでいてよ。二人しか乗れないけど」

それって、全然大船じゃないよね!?

悔しいけれど、限界だった。

こんな言い争いを目撃されたり、夕飯が冷めるよりが、背中を借りた方が早かった。


ソラ君の背中に顔を埋めたら、急に腕を前に引っ張られた。

「手、俺のお腹の所でぎゅっとしといて?」
「え?」
「自転車の二人乗りは、校内では禁止だから」

「え? え、っきゃあ」

校内じゃなくても禁止だと思ったけれど、ソラ君がいきなり発進するからもう返事なんて出来なかった。

流石、男の子。
スピードは半端ない。

ジェットコースターに乗っているような気分だった。
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