世界で一番ソラに恋した。
茜色に染まる背中は、――私が欲しくても手に入らなかった身長が大きく広げているんだ。

優しく笑うソラ君の顔は、ぽかぽかのお日さまみたいじゃなくて――お日さまが当たらない場所みたい。建物で遮られてソラ君だけ光が当たらなくてもいじらしく笑ってみせているみたいな。



優しい笑顔なのに、切なくなるのはなんでなんだろう。


「あゆー、奈菜―、テスト明けの金曜日空いてる?」

お弁当の時間に机を寄せている時だった。
三人は、明らかに興奮している。
「金曜は、17時からバイト」
「えー、客来ないんでしょ? 休んじゃおうよ。サッカー部もグランド整備で部活休みなんだって。カラオケ行くんだけど、来てよー」

やっぱり。
どうやら三人はそれぞれサッカー部に狙いを定めているらしい。


「私、弟がサッカーしてるから色々言われたら嫌だからパスしたいなー、みたいな」
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