世界で一番ソラに恋した。


奈菜はパンを齧りながら、画面をスライドさせてメンバーを見ている。

「やっぱ居ないか。まあ、誰かに教えて貰おうかな」

「ちょっと! 奈菜ってばサッカー部にいるの!? 竜くんは駄目だからね!」
「私は賢ちゃん!」
「私はノブ先輩」

「あはは。違う違う。ちょっと、ね」

意味深な発言をした奈菜に首を傾げてつつも、こっそりグループLINEの通知をOFFにしていたら、また招待があった。


『俺もあゆって呼んでもいい?』


そのメッセージは、空色のアイコンだったからすぐに分かった。

グループラインの中に、ソラ君もいたんだ。

それでこっそり私だけにメッセージを送って来たんだと分かった。

『駄目!』

『――こっち見てよ、あゆ』

?のスタンプを送っても、既読がつかなかった。


未だに奈菜に追求する三人の目を盗んで、窓際にいるソラ君達サッカー部を見る。



窓の縁に座って、椅子に足を乗せたお行儀の悪いソラ君が――真っ直ぐに私を見ている。

ヘッドフォンを首に下げて、サラサラの髪を揺らしながら私を見てにっこり笑う。


小さく動いた唇は、『あゆ』と動いている。
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