世界で一番ソラに恋した。
「サッカー部の部長いるじゃん?」

「うん」

漢字テストで満点を取って秘密を死守した奈菜が、屋上に向かう私の前を歩きながら言う。

「あの人ね、すっごい泣きそうな顔で私を見ていたの。それで、やっとあの人が私を見てたんだなって気付いた」

「んんん? 待って、何の話?」

「うーーん。名前は言えませんが、すっごい有名な人から花火大会を誘われてね、それをサッカー部の部長が目撃したの」

「流石、奈菜。モテモテ」
「その人は全く興味ないけど、――裏表なさそうで感情を隠しもせずに顔に出せる人って素敵じゃない?」

ちょっとだけ浮足立って見える奈菜なんて初めて見た。


「だから、もしかしたら今年はお互いに花火大会行くことになるかもね」
「えええ、私だけ一人?」

奈菜と同じ色の浴衣で、同じ髪型で、同じネイルして、花火大会することまで妄想してたのに。

「アンタから屋上を奪おうとしているソラ君なんてどうよ?」

「なんで?」

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